『カオスとロゴス』発刊の趣旨
21世紀を迎えた。「閉塞」がキーワードになり、人類はただ苦悩を重ねるだけであるかのようである。日本も世界もどこに向かっているのか――このように問えば、自らの足元に広がるさまざまな難題とカオスを直視する者は誰でも安易に答えることはできないであろう。
国際関係はますます緊密化し国家と国境の壁が低くなるなかで、温暖化など地球環境の破壊・南北格差・民族対立・女性差別などの諸問題が錯綜する危機の時代に、私たちは直面している。資本制社会の台頭のなかで、私的所有に基礎を置く資本制社会に代わって人類の未来を担うべく誕生した社会主義をめざす運動は、1917年のロシア10月革命によって新たな時代を切りひらき、第二次世界大戦の後には東ヨーロッパや中国などで新たな建国の理念とされ、いわゆる現存社会主義圏を形成したが、その変質を通して現れたスターリン主義はわずか半世紀で自壊した。
10年前には、ソ連邦などの崩壊を「社会主義の崩壊・資本主義の勝利」として宣伝することが支配的となっていたが、今や危機にあえいでいるのはその「勝利した」はずの資本制社会である。「繁栄」を誇ったアメリカ経済も失速し、世界中で紛争が絶えず、飢餓にさらされている8億の民や生まれ故郷を捨てざるをえない4000万の難民が、生存の淵で呻吟しており、彼らに立ちふさがる最後の壁は資本制社会である。
したがって、アメリカ帝国主義を盟主とする現代資本制社会の政治の構造をその基底をなす世界経済の動向と合わせて解明し、変革主体形成の道すじを明らかにするとともに、スターリン主義という大きな負の遺産を「裏切り史観」に陥ることなく解明し、歪曲のなかでも育まれていたはずの経験の成果を社会主義の再生にむけて掬い出す、二重の努力が、私たちには課せられている。
私たちは、1995年に創刊した本誌でのさまざまな探究を通して、<社会主義と法>という問題意識を新たに獲得した。<市民主権>を貫ぬき、自発的で意識的な、人間の平等なつながりとして形成される<連帯社会主義>を展望し、その道を<則法革命>として追求する。この方向は、人間は何か、人間はなぜ生きるのかを問う根源的な問いへの解答であるばかりではなく、地球の存続自体が問われるなかで生産力の質の検討と制御のためにも選択しなければならない。人間は社会的主体であり、ロゴス(理念・理性)の復権こそが求められている。
私たちが生活する日本は、過労死を生む強搾取を基礎にアメリカに次ぐ経済大国に成長したが、冷戦崩壊後の世界の激変のなかで政治的枠組の再編を不可避としている。労働運動や左翼運動は閉塞状況に落込んでいるが、NGOやボランティア活動は活発に展開され、環境問題や高齢化社会の諸矛盾の累積はそれらの運動の再活性化を促進するであろう。これらの諸分野の活動家と問題意識を共有し、彼/彼女らの努力を連帯社会主義の未来へと架橋することが、私たちの願いである。
泥沼に咲く蓮の花の真実を確信する私たちは、一人ひとりは有限であり、部分的真理を掴もうと努力しているにすぎず、だからこそ開かれた連帯が大切であることを痛感している。
社会主義にむけた討論の文化を創造することが、私たちが本誌を発刊する目的である。夢のある眺望が切り開かれる時代に向かって、読者とともに堅実に歩んでいきたい。
2001.4.6
この趣旨は、本誌の発行主体を変更したさいに、1994年8月6日の本誌創刊の趣旨を改善したものである。
発行形式 年に2回=4月と10月 A5判、144頁あるいは152頁
購入の方法:1500円+送料250円
年間2号分 〒とも3500円
郵便振り込み:00140−8−105265
「稲 妻」
発行主体:村岡 到
発行形式:隔月刊=偶数月10日 A4判4頁
購入の方法:1部200円
年間6号分 〒とも2000円
郵便振り込み:00140−8−105265
1980年に政治グループ稲妻の機関紙として創刊された。96年に同グループ解散の後は、村岡到の個人紙になる。紙名の由来は、「稲妻が雷に先立つように、思想は行動に先立つ」にある。
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