「簡単判例紹介」(未創刊号)



◆最高裁平成14年7月11日第一小法廷判決
  〜空クレジットと知らずになした立替金支払い債務の保証契約と
    要素の錯誤
  参考文献:平成14年度重要判例解説 p.61 民法1

〈事案〉
A(買主のふり)はB(売主のふり)と共謀して、Aの営業資金を捻出するために、実際には商品の売買契約がないのに、購入する形を取った空クレジットを計画し、クレジット会社Xとの間で、立替払契約を締結した。
 他方、Yは、Aの依頼により、本件立替払に基づき、Aが負担する債務について、連帯保証契約をXとの間で締結した。

XがBに対して、立替払をしたが(その金は、Aのところへ流れる)、Aが支払いを怠ったので、XはYに対し、保証債務の履行を訴求した。


〈争点〉
空クレジット契約に伴う債務の保証契約と錯誤無効の関係


〈判旨〉  破棄自判→Y勝訴
保証契約は、特定の主債務を保障する契約であるから、主債務がいかなるものであるかは、保証契約の重要な内容である。そして、主債務が、商品を購入する者がその代金の立替払を依頼しその立替金を分割して、支払う立替払契約上の債務である場合には、商品の売買契約の成立が立替払契約の前提となるから、商品売買契約の成否は、原則として、保証契約の重要な内容であると解するのが相当である。

これを本件についてみると、…本件保証契約におけるYの意思表示は法律行為の要素に錯誤があったものというべきである。


〈ちょっとした説明など〉
・本判決の争点は、保証契約自体の効力

・判例によれば、保証契約の成立にあたって、物的担保があるとか、
 他に 保証人がいると保証人が誤信したような場合には、動機の
 錯誤として処理されてきた。
  しかし、本判決は、主たる債務の態様は、保証契約の重要な
 内容で あり、その誤信は、要素の錯誤にあたるとした点で、動機の
 錯誤の問題に触れることなく判断した。
  そのため、今までの事例との関係を再度検討する必要がある。


〈個人的な感想など〉
一・二審では、Yが敗訴していました。にもかかわらず、Yが勝訴できて
よかったなあ、と思いました。

では、創刊号で。なお、chocoは、私のかつてのニックネームです。


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