マジックナンバー

 プロ野球も終盤になると優勝へのマジックナンバーというのが現れる。他のチーム(優勝を争う相手チーム)がたとえ残り試合全部勝ったとしても、自チームがこれだけ勝てば優勝という数字である。実際には相手チームもいくらかは負けるのが普通だから、もっと少ない勝ち数で優勝が決まるだろう。一方、いったん出たマジックがまた消えることもある。だからマジックナンバーというのはひとつの目安にはなるけど、かなり漠然とした概念ではある。
 一方、自チームおよび相手チームの残り試合数とマジックナンバー、残りの直接対決数がわかれば、相手チームに逆転される(したがって優勝できない)確率を計算することは理論上可能である。優勝できる確率は1からこれを引いたものである。ただし、「相手チーム」はひとつとは限らないから、2つ以上の場合は、各々の逆転確率の合計を1から引かなければならない。
 このような「逆転の確率」というのも、(天気予報の「降水確率」と同様)かなり抽象的な概念ではある。たとえば逆転の確率が 1% ということは、同様の条件が100回起こったとしたとき、そのうちの1回くらいは逆転が起きるだろうということで、それ以上具体的なこと(その1回が今回起こるかどうか、など)は何も予言していない。しかしそれでも、単にマジックナンバーを見るだけよりは少しはイメージが掴めるのではなかろうか?「優勝の確率は95%」なんて言われると、人はなんとなく納得するものである。

 たとえば、2005年のセ・リーグでは9月13日に阪神ターガースにマジック13が点灯した。この時の残り試合数は阪神が16。相手チームの中日ドラゴンズは19で、直接対決は3試合残っていた。この場合の逆転確率は5.882%。中日はまだ首の皮一枚で繋がっていたと言えるだろう。
 しかし、15日に阪神が勝ち、中日が敗れたため、残り試合数は15と18になり、マジックは11に減った。そして逆転確率は一気に2.641%にまで下がった。もしこの日、阪神が負けるかまたは中日が勝って、マジックが12だったら、逆転確率は5.421%で、前日とあまり変わらなかったのである。因みに阪神が負けて中日が勝っていればマジックは消えていた。
 とまあこのように、毎日の数字で遊べるのが以下のフォームである。
昨日
自チームの残り試合数
相手チームの残り試合数
残りの直接対決数
マジックナンバー
%
今日
自チームの残り試合数
相手チームの残り試合数
残りの直接対決数
マジックナンバー
%
(「やす」さんのご指摘によりバグ修正。2006.9.8)


計算方法
(直接対決がない場合)
 自チームの残り試合数をG,相手チームの残り試合数をGo,マジックナンバーをMとする。
 各々の試合に自チームが勝つ確率をp,相手チームが勝つ確率をpoとする。
 逆転が起きるためには、自チームの勝ち数wは
  w < M
でなければならない。
 自チームの勝ち数がwになる確率は
  Gww(1−p)G-w  (1)
 自チームの勝ち数がwのとき、相手チームが逆転するためには、その勝ち数wo
  wo > Go−(M−w)
でなければならない。
 そして相手チームの勝ち数がwoとなる確率は、
  Gowoowo(1−poGo-wo  (2)
 (2)をすべてのwoについて合計したものに(1)を掛けたものが、自チームの勝ち数がwのときに逆転される確率である。
 さらに、それをすべてのwについて合計したものが、すべての場合の逆転確率である。すなわち

 なお、ここでは
  p=po=0.5
とした。優勝を争うチームだから、勝つ確率はもう少し大きいとするべきかも知れないが、とりあえず細かいことにはこだわらないこととする。

(直接対決がある場合)
 残りの直接対決数をGxとする。直接対決でwx勝つ確率は、
  Gxwxwx(1−p)Gx-wx  (4)
 このときマジックは
  Mx=M−2wx    (5)
に減る。したがって、(3)において
  M → Mx
  G → G−Gx
  Go → Go−Gx
としたものに(4)を掛け、これをすべてのwx(=0〜Gx)について加えたものが逆転確率である。

制作・著作 ザ・ランス