ブリーズキャラクターの日々の活躍を記すためのスペースです。現在はブリーズのメンバーが参加しているエターナルデザイアーの冒険結果をもとに起こした、冒険記を置いています。
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| ブリーズの参加者 | |
| アルス・シンクレア | 良識と常識とを有した冒険者ならば、絶対に下記の人たちとパーティを組もうとは思わないはず、アルスはブリーズの中では数少ないそうした冒険者としての見識をもった人間である。13歳という若さで、冒険者がいかに振る舞うべきかを既に理解している。もっとも、エターナルデザイアーでは、せっかくだからパーティを組むべきところなので、下記の人たちと行動を共にしようと考えている……はず。 資質−勇気、種族−人間、性別−男性、年齢−13歳、身長−153p、体重−45s |
| セリス | ひとことで言えば、冒険をするにはそぐわない変な人形である。先ずは戦う気がないらしい、戦いを回避するのは冒険者にとって自然の理屈なのではあるのだが、そうした意味で、戦いをする気がないというのではない、戦いの火種をもってくるのは好きなのである。トラブルを愛し
、その災厄を被る仲間を眺めるのを最上の喜びとしているのである。 資質−混沌、種族−機械、性別−女性、年齢−21歳、身長−40p、体重−10s |
| フィア・セス・ティルース・パリューノ | 冒険者とするには似つかわしくない地位、王女の位にあるはずの彼女は自由と未知を求めて、自由と放埒の放浪をして生活している。その勝ち気で、好戦的な性質は物語で語られるような冒険者のものといっても過言ではないであろう。ただ、その気質が必ずしも、冒険に相応しいというわけではなく、
むしろその、こらえ性のない、自己中心さは彼女を容易に苦難へと駆り立ててくれる。彼女こそ、冒険者らしい人間ではあるが、冒険をすべきではない人間の最たるものである。好きなものは好きでやるのだと……本人は否定するが。 資質−勇気、種族−人間、性別−女性、年齢−17歳、身長−166p、体重−49s |
| キール・ザ・レオディドック | 狂犬の名をほしいままにする彼は何よりも剣を振るうことを楽しみにする。彼の戦いでの笑顔はフィアのそれ以上に輝いている。彼はおそらく血に飢えているに違いない。
けれども、案外、臆病なところがあって、また、長いものには巻かれろ的な腰の低さが時折、見え隠れする。それはつまり、自分にとっておいしいところ
、そこさえ確保できれば、他に頓着しないというとても達観した視点の持ち主ということなのであろう。 資質−希望、種族−人間、性別−男性、年齢−18歳、身長−178p、体重−58s |
※凡例 会話文以外の「」はエターナルデザイアーの冒険結果からの引用句
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リギノの神殿にアルスよりも早くに到着していたパーティがあった。そこには街の酒場でアルスがパーティに誘ったはずのセリスも含まれていた。今から考えれば、あの酒場での状景は滅多にお目にかかれるものではなかった。いつも、それから逃げ回っているアルスが今回は自ら進んで、それとパーティを組もうとしていたのである。
アルス「……おまえと、パーティを組むのは何かと不安だが、リギノの神殿に向かうにはおまえの力が必要だ、一緒に行こう」
アルスの内心は言葉とは裏腹であったに違いない、今までの経験からしてセリスがパーティに加わることは、他の足手まといになりそうな村人をパーティに加えることよりも不利な状況を作り出すと知っていたからだ。しかし、その時はどういうわけか、セリスに声をかけていたのだ。
セリスはその意外な提案に悪戯心を発揮するチャンスと考えたようで、それはちょっと笑みを浮かべて、即答した。
セリス「イヤダヨ」
そのまま、セリスはアルスを酒場に置き去りにして、フィアたちと合流したのであった。
フィア 「どうやら、メンバーもそろったようであるな。早速、戦地へと赴くことにするぞ」
3人がそろって、街を出て、神殿のホールにさしかかったとき、フィアとキールはホールに徘徊するコボルトを見つけたのである。不適な笑みを浮かべた彼らは、勢い勇んで、剣を取り出した。
フィア 「さあ、かかってくるがよいぞ」
キール 「キタキタキタキタキタァ!斬って痛めて混ぜるだけえ!!」
楽しそうな2人の声がホールにこだました。
セリス「あとはまかせたッ 」
セリスは早くもやる気なくホールのがれきに身を潜めて、彼ら2人の笑顔を冷ややかに眺めていた。
キール「そいやっそいやっそいやぁっ!」
キールの戦うさまはなんとも楽しげである。キールは弱ったコボルトにとどめを刺したときの「貴様の生き様見切った!成仏!!」という言葉を投げはなったときの満足感は
筆紙に語ることはできないほどであった。
セリスも体裁を気にしてか、攻撃はするようである。
セリス「指みさぁ〜イるぅ(/^o^)/~~ 」
セリス「数撃ちゃアタ――――ル!!(/`Д´)/~~~~ 」
無事に戦闘も終わり、フィアとキールは棍棒を手に入れた。
セリス「啌督淞嘘債單伽渟拡(狂狂)」
フィア「何だ、もう終わってしまったのか」
キール「また生きているものを斬ってしまった」
フィアは不満のようであったが、セリスはどんな気持ちなのかさっぱり分からなかった。
スパイダーを撃退したアルスがホールの先を急いで行くと、先行するセリスたちを見つけることができたようである。
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アルスがこのときどんな気持ちであったのか、それは誰も知るよしはない。おそらく複雑な感情が渦巻いていただろうが、そのために、もしかしたならば、本人もどうしてそこへ小走りしていったのか、その理由を理解できていないかもしれない。アルスが向かった先はいうまでもなく、先行するセリスたちの集団である。
アルスが彼女らと合流したとき、ちょうど彼らは迫り来る敵を撃退、いや、正確には敵に迫って襲撃し、めいめいの欲求をし終わったところであった。あたりにはコボルトが力無く倒れていた。
アルス「おまえら……」
アルスのその声にはそこはかとなく怯えと呆れの雰囲気が混じっていた。
キール「おおー、アルス殿、セリスどんがひとりで戦うっていっていたが、気が変わったようですな。いや、これでまた旅が楽しくなる……」
フィア「そうであるな、せっかくの異界の旅だ、ひとりでも多く楽しみを共有できるものがいた方がよいであろ」
セリス「アルス、心配したぞ……ニヤリ」
偶然にも3人は同時にアルスに手を差し出して、握手を求めた。誰の手を選ぶか、アルスは急遽選択を迫られてしまったが、そこは、たじろぎもせず、キールの手をとった。キールの手は先の戦闘であびた返り血で少しぬるぬるとしていたが、それは大きな問題ではなかったようである。
アルス「おまえだけが、僕のこと心配してくれたしね、……他のはあまり……」
アルスは語尾を濁して、残されたふたつの手を一瞥した。既にフィアの手は引っ込められていて、フィアは少し不満げな顔をしていただけであったが、セリスはその手を差し出したまま、アルスの方をじっと上目遣いで眺めている。人形の顔を器用に歪ませて、悲しそうな表情をつくり、じっとアルスを視界に捉えて離さないのである。
セリス「アルスゴメンナサイ……(カタカタカタカタ)」
その言葉は表情とは裏腹に肩を振るわせて笑っているようで、アルスの顔はそれをみるなり、ため息が漏れそうであった。
フィア 「今度こそ、仲間がそろったはずであろうな。さて、グロイ三連星、ついて参られるがよい。」
フィアの気分は新たに仲間も加わって、すぐに上機嫌に戻っていた。
キール「そういえば、お嬢、まだ戦利品の確認をしていませんでしたな、何が手に入った?」
フィア「ああ、棍棒だ」
キール「拙者も棍棒は手に入れました。どうやら、こちらの方がありそうですな」
フィア 「そなたならともかく、私が……棍棒を装備するというのはどうであろう。美的にそぐわなくはないだろうか。何故、私が棍棒……」
キール「まあ、ものは試しに使ってみましょう」
フィアとキールは棍棒を装備して、試しに何度か振ってみた。
ミュウ「何でもよいから、そろそろ進みませんか。大いなる力の集うところに、パワースポットは生じるわ。この神殿の祭壇には、聖霊リギナロの力を帯びたパワースポットがあって、リギナロに認められた者だけがその力を手に入れられるのよ」
アルスのお供をしていたミュウは完全に忘れ去られていたが、ここぞとばかりに回廊を指さした。
フィア(そういう役は司令である私の役目なのだが……まあ、この世界の先達には逆らうまい)
ミュウの行く先をフィアたちはついて行った。
回廊はいくらか朽ち果てていたが、どこまでも続いているようであった。幾ばくか進むと、フィアたちに緊張が走った。回廊の奥から敵がにじり寄ってきたのだ。
キール 「キタキタキタキタキタァ!斬って痛めて混ぜるだけえ!!」
キールが真っ先に手にした棍棒を振りかざして、戦闘態勢をとって、速攻で敵へと突進した。キールがいる限り、どちらがモンスターなのかその区別をつけるのは端から見たら容易なことではないのかもしれない。
アルス 「サクッと行こう」
キール、フィアと続き、支給の剣には満足できなかったアルスは街で買った槍を構えたアルスも突撃した。
セリス 「嵎湍団凡筑端洙灼・洙灼・ン」
やはり、やる気がないのか、セリスは後ろからちびちびと攻撃しているのだが、それよりも、セリスはどんな気持ちなのか、誰にも察することはできないことが問題である。
戦いは圧倒的にこちらが優勢であった。しかし、その戦いの質はパーティ戦というよりはパーサーカーの猛撃という言葉が相応しいのではないであろうか。これは今に始まったことではないが、彼らと協調という言葉はそもそも縁遠い。キール、セリス、アルスの3人はグロイ三連星と呼ばれているが、その名前の由来となった三連星のような巧みな
連係とは無縁であるといってよい。ただただ猛然と敵と相対し、各個に敵を撃退していくに過ぎないのである。彼らの三連星は、ちょうど3人よれば文殊の知恵といわれると似ていて、3人寄ればシヴァの破壊力というようなものである。司令のフィアなどあったものではない。フィアが声を大にして、「戦いとは駆け引きであるぞ」と叫んでも空しく響くだけである。もっとも、フィアも戦術を組み立てるのは好むところではあるのだが、それ以上に純粋に戦場での緊迫感を味わいたいというのもあって、好んで三連星同様の戦いをしてしまう困った司令ではある。
そうはいっても、彼らとて協力しないというわけではない。この戦いでもフィアとミュウは協力攻撃をしていた。協力できないのではない、ただ、パーティの誰かと協力をしようという考えがメンバーの中に芽生えないだけなのである。
アルス「楽勝!!・・・かな?」
戦いが終わって、ようやくパーティの面々はお互いに顔をつきあわせた。戦いの中では戦いに集中しているために、その戦いが楽勝であったのか、確かめるためにはひとりひとりから感想を聞くしかなかったのである。
セリス「啌督淞嘘債單伽渟拡(狂狂)」
だが、相変わらず、セリスを理解することは困難であった。
フィア「おお、こんなところにはちみつの壺が落ちているぞ。私が見つけたのだから、私のもので文句はないであろう」
それは今回の敵の一匹であるキラービーの落としたものであった。何故、蜂が壺入りのはちみつを落とすのか、おそらくそれはエターナルデザイアー独自の論理が働いているのであろうから、深入りするのはよしておこう。フィアははちみつの壺を軽くはじくと、カツンと音がした。
フィア「……いい音色で……はないようであるな。まあ、中身が入っているから仕方ないか」
フィアは壺の中のはちみつをしげしげと眺めながらいった。
ちなみに、その頃、ティシアは彼ら4人が出掛けている人手不足を補填する形となって、エレナにこき使われているのであった。
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回廊の先に祭壇らしきものがみえてきた。ミュウの話によると、この先にリギナロという精霊がいて、彼を倒すとフィアたちは新たなる力を手に入れることができる
とのことだ。しかし、そのリギナロは今の彼女たちの力では太刀打ちできるレベルとは思えなかった。
事実、このリギナロに返り討ちにされ、痛手を負って出てくる冒険者があとをたたないと街では噂されていた。
キール 「ううむ、果たして今の戦力でリギナロに勝てるのか・・・?」
キールは言葉とは裏腹に、身体は戦いを欲しているようであった。この世界に来て手に入れた棍棒を近くのがれきに打ちつけては……妙な含み笑いをしている、その姿は血に飢えた狂犬そのものであった。
セリス 「ニューヤークに行きたいかぁ!!(違)」
フィアはセリスに尋ねても時間の浪費と考え、アルスのもとへ歩み寄っていった。
フィア「我らはこのまま、リギナロを攻めてもよいものであろうか」
アルスの意見もフィアと同意見であったが、アルスは一歩進んだ問題を提示した。
アルス「……そうですね、確かに今の僕らには無謀なことです。でも、フィア、きみはあれの処置をどうするかは決めたの?」
アルスが指さしたのは、いうまでもなく、がれきを砕いて悦に入っている狂犬であった。
フィア「……どうしたものであろうな」
おもむろにアルスは服の下から鎖を取り出した。
フィア「古典的な手段とはいえ、それがもっとも有効であろな。そなた、賢いではないか」
フィアは回廊でおもいおもいに過ごしていた、パーティに向かって号令を行った。
フィア「さて、これから、リギナロとの戦いへ向かうところなのであるが……」
その瞬間、気をとられたキールの背後からアルスが首に鎖をかけ、そのまま、キールの自由を奪ったのだ。自由を奪われたキールは何が起こったのか、理解できないまま、アルスのなすがままであった。
フィア「我らに勝ち目は薄い、退却することにする」
フィアはさっさときびすを返して、回廊を跡にした。
跡に残されたのは、口のふさがれたキールの声にならない講義と、ここまで親切に案内をしてくれたミュウであった。彼女は呆然と、彼らの帰るのを見送る姿だけであった。
アルス 「しかし一目散に神殿をあとにするパーティー…」
フィア 「まあ、よいではないか。退くも勇気であるぞ。ここはひとつ英気を養い、力をためることにしよう。……さて、はちみつ、はちみつ」
そういって、フィアは先ほど手に入れたはちみつの壺に手を突っ込んでいた。
アルス(本当は、この姫さまもはちみつをゆっくり食べたかっだけでは……)
街へ着くと露店の立ち並ぶ市場が活気づいているがわかった。
フィア「おお、何かにぎわっているようであるな。そなたらもいくであろう」
アルス、セリスもフィアに続いて市の雑踏へ踏み入った。市では今度、行われるという精霊祭のための準備の品々が、売られていた。彼女たちはその店のひとつに立ち寄ってみた。店では何種類かの草舟が売られていた。
店主「…ああ、お嬢さん方も草舟を買いなさいな。精霊祭の日に流す草舟だよ」
アルス「精霊祭って、どんなお祭りなの?」
店主「それは、精霊祭の日までのお楽しみだよ、さあ、どうかね、安い草舟と普通の草舟と高い草舟どれにする?」
そういわれた一同は、何故か何かともいえない親近感が湧いたのだが、それがどうしてだかは、分からなかった。しかし、彼らはどこか街に入るたびにこの不可解な三択を常に迫られていたような、そんな気がするのである。
セリス「全部買ったーー。もってけ泥棒!ーー」
セリスはすぐさまに、金をたたきつけて、その3つの草舟を持ち去っていきました。
フィア「何が、あれをそう駆り立てたのだ……。不可解だ……。(だが、せっかく異世界にきて、楽しむにはいろいろやって方がいいに違いない)。よし、私もそれを全部買うことにする
」
フィアは代金を支払い、品物を受け取った。
アルス「おまえら、よく、そんなよく分からないものにお金使えるね」
アルスは普通のもの、安いものだけを買って、店をあとにした。
フィア「そういえば、狂犬はどこに行ったのだ。」
アルス「あんたが、先に行ってしまうから、面倒なのは嫌だって、入り口でまっているよ」
本当はアルスはぎくりとした。思い出してみると街の入り口に放置したまま、フィアを追いかけてしまったのだ。
それから改めて、4人は合流して、今度は渓谷、ロゥリスの霧の戦場と呼ばれる領域へと行くことに決めたのだ。
道すがら、フィアは棍棒を手にとって、軽く振っていた。
フィア「次の戦いが楽しみであるな……」
アルス 「……そういえば、フィア、似合わないって思うなら、装備しなきゃいいのに。」
フィアは笑顔で答えた。
フィア「似合わないというものがすべてダメというわけでもなかろ。案外、このミスマッチが魅力になるまいか」
アルスは心の中で、外見はまあ、似合わない感じもするが、フィアの性格なら、あれほど似つかわしい武器はないな、とつぶやいた。
キール 「ほーらほーらーみんなのーこーえがーすーるー」
霧の戦場をしばらく歩いていたそのときであった。先ほどから、鎖によって拘束され、自由を奪われたままげんなりしていたキールがむっくと起きあがり、突如、活気づいたのである。突然霧が立ちこめ、その中から、人影が浮かび上がってきた。
アルスは少々不安に思ったが、狂犬の鎖をはずした。
セリス 「アルスの飯にしてやる!」
さらに、アルスの不安をあおるものが彼の足下をふらついていた。
アルスは内憂外患という言葉を思い出していて、戦闘どころではなかった。アルスは敵のバードの先制攻撃を受け、それでようやく我に返った。
フィア「みなのもの私に続くがよい」
フィアの号令で、パーティが戦闘に集中したのか、どうかは分からないが、ようやく戦闘らしく、結束してしはじめていた。しかし、やはり、まとまりのない彼らの連携では敵の戦術にはまるだけであった。敵のバードのナップソングにより、パーティの半数は眠気に襲われ、一瞬にして、体勢が崩れていった。それをようやく立て直した彼らは、若干の反省のもと、連携しながら戦うことを心がけたのだ。
フィアとアルスは初めて、パーティとして協力して戦うことができたのだ。
フィア「そなた、私の足を引っ張るでないぞ」
アルスは内心、むしろ引っ張るのはきみだからと思ったに違いなかったが、戦闘中、わざわざ指摘することもないと、そのことは不問にした。
今度はフィアとキールが組んで、攻撃を行うのであった。
キール「食らえ!ジェットストリーム・アタァーック!! 」
フィアは内心、私はあんな連中と同類ではないと強く、思ったが、その思いも、次の彼の言葉によって完全に打ち消されてしまった。
キール「グロイ三連星の前に敵は無い! 」
どうでもよくなったのか、フィアも言葉を加えた。
フィア「そなたもなかなかやるな 」
フィアは彼女がグロイ三連星に加えられてしまったのではないかという、疑惑に胸をふくらませていたが、真実、気にするべきなのはキールと一緒になって、似合わない棍棒で撲殺した敵の上に立っていることと、鈍器で殴った返り血が、頬についていることではなかっただろうか。
キールはこのジェットストリームアタックで、気をよくしたのか、さらに演出は派手になっていった。
キール「冥土の土産に教えてやろう。これが神に至るべき者の力だ!! 」
リギナロ戦を躊躇する程度のパーティで神の名を口にするのもおこがましいようであったが、その結果は出していっていた。
キール「成仏」
キールは敵を次々に葬っていくのであった。
敵を殲滅して、先ほど感じた不安をアルスは直に受けるのであった。
セリス「アルスくんおいしいでちゅか〜? ほらほら、そんなにがっつかないの! めっ!」
アルス「ま、こんなもんかな。」
思わず、セリスのノリについていってしまった、彼は口の中に、先ほど戦った、敵の断片を頬張っていたのであった。霧の戦場、その霧は死者の魂そのものだと噂されている。つまり、アルスが口にしているのは魂そのものということになり、その実はソウルイーターということであろうか。もっとも、魂である分、力を完全に失えば気化してなくなる分、毒でないのだから
気にしなくてもよいのかもしけないけれど。でも、無害だからといって、シリカゲルを食べないのと同じように、幽霊の死体も食べるのは気が引けてしまう。アルスの勇気は称えるべきなのかもしれない。
さて、その頃、ティシアはというとエレナにドラゴンの爪を要求されて、アニエスに会いに行き、料理掃除洗濯、メイド三昧の日々を過ごしていた。
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霧の戦場を抜け、フィアたちはさらに奥地へと足を踏み入れていた。渓谷ロゥリスの、その霧の奥にこそ、彼女たちが目指している精霊祭の川の流れがあるというのである。彼らは未だ、その川が何であるか、知らされてはいなかったが、その未知であることがフィアの心を余計に高ぶらせていっていた。
フィア「精霊祭とはどのようなものなのであろうな、楽しみであるな」
彼女は鞄から小舟を取り出しては、これから起こる神秘的な出来事に思いを馳せていた。
その後ろを特に興味ないというような雰囲気で、アルスがついてきていた。彼はキールの首につながった金属製の鎖を引いていた。落胆したような顔を見せた彼の後ろにはセリスがついてきていた。セリスもフィアとは別の意味で、気分がよかったに違いない。日常でないハレの日には、その日であるからこその災難が、彼らを襲うだろうと予見しているかのようであった。
フィア 「そなたも精霊祭にセリスと共に参加するのでは気苦労も絶えないだろうな」
彼はその言葉を聞くやいなや、首を横に振って苦笑いを浮かべた。どうにもならないといった風で、むしろ、彼にとってはフィアがこれほどまでにはしゃいでいるのが不思議でならなかった。世の中の災厄を一挙に集めたようなパーティで楽観的に笑っているフィアには理解ができなかったようだ。
アルス「何でもいいですけれど、そろそろ精霊祭の川に着いたのではないですか」
霧がかった道の奥に何やら川の流れているのが見てとれる。既に先に到着していた人たちが、小舟を川に流したのか、小舟にともる灯火が霧にぼやけ何ともいえない幻想的な雰囲気であった。フィアたちは持っていた小舟に火を灯し、川に流した。
フィア「そういえば、キールはどうしたのだ」
アルスに尋ねると、彼はまた首を振って、こう答えた。
アルス「それより精霊祭でしょう。フィアはこれから起こることが楽しみで仕方ないのでしょう。ささいなことは気にしない」
「ああ、命脈を総べる死の精霊たち……。
幻夢たゆとう渓谷の狭間を流れ、生死の次元へ通じる川よ、
不滅の約束を精霊たちに届けておくれ。
魂のるつぼ、死の鐘のほろぶ音を帆にはらみ、
舟よ、新たな命の火を送りたまえ!」
セリスがどこから取り出したのかわからない汚い紙切れを朗読していた。精霊祭で小舟を流したときに詠む詩が書かれていたらしい。身長40pのマスコットが唱えるにしては何やらギャップのある詩であったが、そのまま、フィアたちは霧に包まれいき、次第にまわりが白くなっていき、何もみえなくなっていった。
セリス「狙い通り」
セリスが本当にそれを意図したのか、どうかは分からなかったが、フィアたちは白い霧に包まれたまま、身動きがとれなくなってしまっていた。
フィア「これが精霊祭というものなのか、どこからか鐘の音が聞こえてくるのだが……」
セリス「違う。それはあそこで、はいつくばっている狂犬の腹の音だよ」
フィアがみとそこには鎖に繋がれたままのキールがそこにあった。先ほどの戦闘で解放されたはずなのだが、いつの間にやらまた、枷をはめられていた。
フィアはまさかとは思った。何しろ、鐘の音は霧の中を共鳴していくようになり、次第に大きくなっていたのである。人間の腹の音がこれほど、大きいはずはなかった。
アルス「来る!」
アルスはとっさにアルスは狂犬の鎖をはずし、戦闘態勢をとった。
彼らの中央に大きな鐘が姿を現したのである。
フィア「おそらく、これを破壊しない限り、この狭間の世界からは抜け出せない……そんなところであろうかな」
フィアはゆっくりと、腰につけた短剣を抜き、身構えた。
フィア「棍棒もなかなか使い心地よかったがな。やはり、私は刃物でないと上手く扱えない、そなたで試し斬りをすることにしよう」
セリス「それは狂犬のセリフだぞ」
戦闘態勢をとったにもかかわらず、先手をとらずに無駄口を叩いていると、鐘はゆっくりと錆びつき始めていた。
キール「どういうことだ。ともかく切り落としてしまえばいい」
先制の攻撃をキールが放つと、鐘は瞬時に位置を変え、その攻撃をかわしてしまった。
キール「そこの蚊を狙ったまでのこと! 」
負け惜しみの声が空しく鐘の音に埋もれていってしまった。
フィア「そなたの腕が悪いのではないのか。ゆくぞ」
次のフィアの攻撃は鐘に当たったようである。
セリス「ビビビビビビ(/`Д´)/~~~~ 」
エネルギー兵器でも実装したつもりになっているのであろうか。いつもの指ミサイルを撃ちながら、口で効果音を唱えている。
鐘は一方的に崩れていくだけで、いっこうに反撃しようとしてはこなかった。それでも、フィアたちは攻撃の手を休めることはなかった。一方的にとはいえ、ただただ、崩れていくのを見ているだけでは、手持ちぶさたであったというのもあるのかもしれない。
ようやく、鐘が原形をとどめなくなったあたりで、アルスがとどめを刺すことに成功したのだが、
どうにも適度な運動をしてしまったという感じで、戦っていたという感覚はなかった。
鐘が大きな音をあげて粉々に砕け散ると、中から魂の光が無数に飛び出してくる。それを精霊がひとつひとつすくい上げているようである。せわしく精霊の光が魂の光を追っていた。
セリス「ああ、本来なら、アルスに食べられた魂もああして、冥界へと導かれて行けただろうに。その希望を一時の食欲で奪ってしまうなんて、アルスも悪だな」
アルスはその前回の嫌な経験を思い出してしまったのか。その幻想的な光景から目を背けていってしまった。全く、不幸な少年であるなあとフィアはその光景を眺めていたが、その隙をついたのは、キールとアルスであった。おそらくアルスは偶然目を背けた先に見つけたのであろうが、キールは魂の乱舞などには目もくれず、しきりに崩れた鐘のあたりを漁っていた。アイテムを探しているのである。
祭りという特別な日は、フィアのように、純粋にその光景を仰ぐ者もいる傍らで、人を陥れて楽しむ者、その不幸を被る者、また、その光景よりも現世利益、現物支給を望む者、パーティの中のキャラクターの有り様を導いたのであった。
その頃、シアスはというと、美しい村娘たちが奴隷商人に拉致されたと聞き、商人の店で女性を助けるためと、剣を振るっていた。その村娘たちの多くには、既に愛を誓った恋人たちがいて、自分が幸せになれるはずなどないはずなのに……。
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フィアは精霊祭の神秘的な光景を反芻しながら、仲間と共に街へと戻った。街の酒場で、くつろぎながらフィアたちは次の目標を掲げていた。精霊祭を終えて、再び日常の生活に戻った
今、彼らのやるべきことはひとつである。このエターナルデザイアーの世界に存在するというパワースポットによって、新たなる力を手に入れる、それはつまり、以前、戦力不足から引くこととなったリギノの神殿のその奥へと突き進むことであった。
フィア「さて、精霊祭も無事に終わったことだ、そろそろ本腰入れて我らの力を試すときが来たようであるな」
フィアはこの日を楽しみにしていた。精霊にもらったテンテァルフォの実をかじりながら、振る舞いこそ落ち着いていたが、その手には力が入っていた。
キール「力を蓄えた今の我らならやつを斬ることができる……」
冒険者の間に流れる噂によると、リギノの神殿のその最深部には、リギナロと呼ばれる精霊が冒険者を試しているのだという。その力は新米冒険者にはあまるものではあったが、この世界では彼を倒すことでようやくいっぱしの力を認められるようになるらしい。フィアたちは、みな、ひよっこの初心者にみられるのにはそろそろ嫌気のさしているところであった
から、今日はその呼称との決別をするよい機会であると彼らは確信していた。
宿屋で決意を新たにした彼らは、街で戦いに向けて、最後の準備をしていた。
アルス「さてと、ボクも見た目くらいはらしくしておこうかな。」
アルスは無地のマントを買ってご満悦のようであった。自分のスタイルに合わせて装備を選択することはモチベーションを高める意味でもよいことである。キールもそういう心がけのできる人のようで、何やら剣を新調していた。
キール「では、そろそろ参るとするか。精霊殺し……腕が鳴る」
先ほど購入して、腰に携えていた小太刀に手をかけて、キールは武者震いに震えていた。キールの顔には不吉な笑みが浮かんでいた。首筋に光る首輪とその笑みのコーディネイトは妙に不釣り合いである。
アルス「あ〜・・・ゴメン、鎖はずしていなかった・・・」
今の今まで、本当に鎖のことは誰も覚えてはいなかったらしい。お気楽なパーティに明日はあるのか、傍目で見ているセリスはそう思いを浮かべて抱腹していたに違いない。
リギノの神殿は変わらずそこに立っていた。今度は、まるで迎えられてるかのようにモンスターにも合わず最深部の祭壇への扉の前まで来ることができた。そこではミュウが待っていた。
アルス「精霊たちに引き取られないように頑張りますか。」
フィアとキールは黙って頷いた。
セリス「精霊もアルスを気に入ってくれるといいな」
セリスは肩を鳴らしながら笑っていた。
祭壇への扉を開けると、そこには簡素な石の祭壇が置かれ、青白い光が宿っていた。
光
「この島に生まれ散り別れたフェレスたちよ、御身らの帰還を祝福しよう。そしてエターナルデザイアーを求めるフェレスの主たちよ、私はリギナロ。冒険者を見守る聖霊だ。我が力宿すパワースポットが欲しくば、よかろう!その決意を見せてみよ!」
閃光と共にそこには戦士の姿をしたリギナロが彼らを余裕の笑みで迎えていた。
ミュウ 「来るわッ!」
キールは普段と変わらず、戦いが待ち遠しくて仕方なかったようである。
キール 「抜けっ!抜いたか!?えーい、もう待てぬわ!!」
先制攻撃をと、真っ先にぶつかっていこうとしたが、先手をとったのはフィアであった。
キール「でぇありゃああ!!」
最初に斬りつけられなかったのが、悔しいのか妙に力がこもっているようであった。
それはともかくとして、彼らはミュウと共にリギナロを一斉に取り囲み、反撃の隙を与えないほどに攻撃を加えていった。
アルス「ミュウさん、行きますよ」
しかし、ミュウとアルスの協力攻撃が決まったとき、リギナロの反撃は始まったのである。協力攻撃は確かにリギナロに深い傷を負わせることができたが、そのことが引き金となったのだろうか。
リギナロ「その身の卑小なるを知れ……!」
笑みを浮かべたリギナロのてのひらが光り、次の瞬間、身体を刺すような閃光がフィアたちを襲ったのである。
フィア「怯むでないぞ、さらなる攻撃を加えるのだ」
フィアたちはすぐに体勢を取り戻し、さらなる反撃を加えたが、リギナロもその反撃にも怯まず、すぐさま、連続で魔法を放ってきた。その連続魔法には、さすがのやさぐれブリーズ御乱心のパーティにも余裕の笑みが消えることとなった。しかし、傷つき、後方に下がったキールとフィアを押しのけて、アルスの攻撃とミュウの魔法が活路を見いだそうとしていた。
キール「戦場でロマンスとは……さすがだな、アール坊…」
フィア「……愛の力か。エレナがいうにはそういうのも悪くないらしいぞ」
セリス「色魔らしい、力の出し方だろ。アルスもヤツと同類ということだ。将来が楽しみだな」
アルスは後方の3人の存在に気づき、何かを叫ぼうとしていた。しかし、その隙をリギナロは見逃しはしなかった。穏やかな光がアルスを包むと、彼を急激な眠気が襲う。
アルス「……あんなアルティメット馬鹿と一緒に……するな」
その必死の弁明は眠気ばかりによるものではなかったであろう。無論、それは戦いに対する執念でも決してない。その誘惑をはねのけたのは、今、ここで疑惑を否定できなければ、この先、さらなる不幸を背負うことになりかねないことを知っていたからである。
フィア「……アルティメット馬鹿か。エレナが聞いたら、何と反応するか、楽しみであるな」
3人の含み笑いをはねのけて、アルスはいった。
アルス「真面目にやってくださいよ。僕ばかり働いては損ですからね……」
3人は黙って頷いた。
キール「心配することはない。ここまでは、余興だから」
フィア「全くだ。本来ならば、そなたが眠った方が展開としては楽しかったはずであるが、それも叶わなかったのであるから、この戦いももう終わりであろ」
セリス「どんな敵がこようとも、負けないのがブリーズのパーティだからな」
それからはリギナロを圧倒する展開であった。絶え間ない攻撃が確実にリギナロを追いつめていっていた。既に、焦点は誰がとどめを刺すかという議論でにぎわっていた。リギナロの反撃も、パーティの勢いを止めることはできなかった。ただただ、5人に囲まれ、一方的な攻撃を受けるばかりであった。
フィア「ゆくぞ」
最後に争奪戦を制し、リギナロの首筋に剣を突き立てて、にやりと笑みを浮かべて、彼らは最初の関門を超えたのであった。
フィアが剣を突き立てて、勝ち誇った顔をしていると、突然、リギナロが話し始めた。思わず、フィアも剣を引き、後ろに飛び退いてしまった。
リギナロ「……よかろう、御身らの力を認め、パワースポットを開放しよう。私の力をフェレスに託し、その祝福を持って夢の実現を祈ろう。さぁ、行くが良い。フェレスが御身らを導くであろう」
リギナロが消えると、祭壇の前に光輝く不思議な泉が現れた。
ミュウ 「これがパワースポットよ。フェレスをかざしてごらんなさい」
フィアはパリューノの紋章の描かれている織物を、アルスは約束の刻と呼ばれる懐中時計を、キールは実家の蔵から失敬した愛刀備前守ムネムネを泉にかざした。光と共に、新たな力がフェレスに宿るのを3人は感じた。
フィア「ところで、セリス、そなたはかざさないのか……」
セリスは困惑した顔を浮かべながら、頭を抱え、しゃがみこんでいた。
キール「セリスどんのフェレスはなんですかな」
セリスは俯いたまま、何も返事をしなかった。3人は首をかしげながら、セリスが何かいうのを待っていた。
アルス「もしや……。フェレス……、もってない?」
セリスははっと我に返ったように立ち上がった。
セリス「パワーは送ったからよし。次いってみよう」
セリスは何事もなかったかのように、リギノの神殿を後にした。
セリスがパワースポットの力を手に入れることができたかは分からなかったが、3人には不思議なほどすがすがしい気持ちでいた。リギノの神殿の最深部もやはり、朽ちかけていて、祭壇の天井からは日の光が差し込んでいる。戦いの緊張がほどよく途切れて、この神殿の穏やかな様子に心が和んでいたのである。
ミュウがこちらに笑みを浮かべて、いった。
ミュウ 「パワースポットの力を集めれば、いつかフェレスはエターナルデザイアーになるわ。あなたたちなら、きっと……。がんばってね!」
それから、3人がミュウと別れを告げてこの場を後にしようとしたとき、アルスは何となくミュウと目が合ってしまった。すると、ミュウは彼を祝福するように微笑みかけたのであった。
街に戻って、キールとフィアは酒場で楽しんでいた。
キール「春ですな……」
フィア「であろうな」
フィアも同調した。
フィア「これから、楽しみであるな。また、彼女と冒険をすることもあるであろう。その日を楽しみにしようではないか」
ふたりはどこからともなく笑いがこみ上げてきてしまって、それ以上の会話ができないでいた。
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アルス 「ミュウ、キミと別れがこんなにも悲しいことだなんて……」
翌朝、街のオープンカフェで、通りを行き交う人の流れを眺めながら、アルスは嘆息をもらしていた。思いもかけず、彼女がこの通りを歩くのではないか、
そんなありえないようなことを期待してしまう自分
に気づくと、妙な気持ちになった。リギノの神殿を後にしてからというもの祭壇での戦いのことばかりを思い出しては、彼女との会話の端々の、あの笑顔が浮かぶ。
いつの間にかテーブルの上のコーヒーは冷え切っていて、頬杖をついたままだった頬にはくっきりと手の跡がついていた。はっと我に返ったアルスは、そのまま空しく1日を過ごす気にもなれなかったので、ため息混じりにアルスは席を立つことにした。
アルス「ふぅ……、やれやれだな」
妙に身体が重たく感じられた。そんなにも元気がなくなったのかと自らを笑いたくもなったが、席を立っても、椅子が彼の後をついて、ギリギリと音を立てていることに気づいて、ようやくそのおかしさに気づいた。よく見ると、足下にセリスが潜んでいた。
セリス「アルスのおじちゃん、このまえゆってた「きっこうしばり」ってなに〜?」
セリスは極めて策略的に、純真な子供の笑顔を作ってアルスを見上げていた。
セリス「せりすよくわからやないけど、しばうのってこうやるんだよねぇ」
気づけば、アルスは以前キールを縛っていた鎖によって椅子に縛り付けられていた。身動きのとれなくなっていたアルスはすぐに現実を理解することはできなかった。
アルス「……」
その境遇の急激な変化にはついていけないまま、セリスになす術なく弄ばれているとだけようやく理解し始めた頃、
セリス「あっ、狂犬。……こっちにきて、せりす、わかやないことがあるの」
今朝のセリスの嫌がらせは、どういう趣向なのか、それは市場近くの人通りの多い、カフェで行われていた。キールはセリスの呼びかけに応えて、アルスのテーブルへとやってきた。
そのセリスの呼びかけは場違いなほどに大きな声であったので、カフェの客の注意をひきつけてしまいそうである。
セリス「あのね、狂犬。せりすどうして、アルスがこんなことしているのかわかやないの……」
相変わらず、セリスの声は大きかった。セリスは片手でキールのズボンの裾をつかんで、もう片方の手でアルスのことを指さした。キールは、その状況を理解しても、しばらく、間を持たせる意味でもコメントを差し挟まずに、アルスのことを直視しないように気をつけながら、適切な言葉を思案した。
しばらくえもいえない沈黙が続き、彼らの周りを雑踏の騒がしさや周りのテーブルからする食器の音だけが包み込んでいた。
キール 「はっはっは、アルスどの、鎖とはめがねっこに縛り付けてこそ意味のあるものですぞ」
突き抜ける笑い声が、アルスの脳裏をこだました
。昨日の戦いで、眠気に耐えられないまま適当にいわせておいて、その話題でもちきりにしてしまえば、こんな仕打ちを受けずにすんだのではないかと悩んでしまった。このような恥辱にまみれるならば、まだ、マーティン共和国の元士官候補生の扱われ方の方がましだ、彼は心の中で、妙な天秤ばかりをしてしまうほどに、混乱してしまった。
キール「おお、あそこにいるのはフィアどの。これからフィアどのの市場に行くので、これにて、失敬……」
キールが去っていくと、残されたアルスの向かいにセリスがちゃっかりと座っていた。
セリス「まあ、気を落とすな。それがアルスの人生だから。抗うだけ無駄っていうことだ……カタカタ」
人形独特の肩をならしながらのその笑い声がいかにアルスの癪に障ったか筆紙には語りつくせないところであるが、既に半ば慣れてしまったアルスにはそれを表現する体力は残っていなかった。
セリス「まあ、これでも飲んで元気を出しな。こいつもくれてやるから」
セリスは縛り上げていたときであろうか、いつのまにやら、アルスの懐から、精霊祭で手に入れた青いウイセーユを取り出して、飲むように勧めていた。そこにセリスの手に入れたテンテァルフォの実も添えていたのはセリスの優しさ故なのだろうか。
アルスは反論する気力もでなかったので、いわれるままに青いウイセーユを口にした。どこからともなく元気と力が湧いてくるようであった。きりっとセリスはアルスを凝視した。
アルス「おまえ……」
しかし、上手だったのはセリスであった。反撃の言葉を強引に押しとどめ、人混みへと紛れていった。遠くからセリスの声がする。
セリス「テンテァルフォの実、お買いあげありがとうございました。またのご来店お待ちしております」
アルスが財布を確かめるといくらかお金が減っていた。全部とっていかなかったのはセリスの優しさだろうか。アルスは椅子に縛られたままセリスの今日も弄ばれ、呆然とするほかなかった。
市場では、キールとフィアが戦いで得た戦利品を換金していた。
フィア「こうして、戦利品を売却していると冒険者という感じがでて楽しいな」
キール「さすが、お嬢だな。凌ぎを楽しみにしてしまって、金のありがたみというものがわかっておられないようで……」
フィア「そんなことはないぞ。王家にとって、金ほど大切にしないといけないものはないのだぞ。何しろ、金というものは民が我らのために納めてくれるものだ。それを心していなければ、民に失礼であろ」
キール「それにしては、お嬢の普段の金の使い方は……」
フィア「それは違うな、狂犬よ。金は使うためにあるのであって、使うことは問題ではないのだ。無駄に金を使わなければ、それでよいであろ。……それに冒険者気分で楽しめるのならば、楽しんだって悪くないであろ」
キール「まあな」
ふたりが荷物となった戦利品を商人に売り払いながら、とりとめのない会話を楽しんでいると、そこにセリスが合流してきた。
セリス「全く、アール坊の困った趣味に付き合わされるのも疲れるよ」
キールはその言葉に思わず、頬がゆるみ、目をそらした。
フィア「なんだ。アルスに何か変わった趣味でもあるというのか」
セリスは伏し目がちに頷いた。
セリス「……うん、まあ、いろいろとね。でも、気にしないで、大したことではないから」
全く気にならないということもなかったが、そのまま執拗に好奇心を満たすようなことをしても悪いような気がしたフィアは受け流して、話題を変えることにした。
フィア「それで、セリスは急ぎのようだが、我らに何か用なのか」
セリス「ああ、金貸して」
フィア「……そうか。それで、何に使うのだ。」
さすがに、フィアもこの間合いで迫られて、ひょいと貸すことはできなかった。
セリス「安心しろ、装備を調えるだけだ。すぐに返すから。」
フィアも若干考えたが、同じパーティにいて、常に監視のできるセリスならば、多少行動が突飛で踏み倒されそうなことがあったとしても、何とでもなるはずだというのもあった。
フィア 「金の無心か。そなたに金を貸して、返ってくるのかはたはた疑問なのであるがな。まあ、よい。使うがよい。」
フィアから金を受け取ると一目散にセリスは逃げるように去っていき、市場の人混みに紛れていった。
キール「お嬢。こういうのこそ、金の無駄遣いというのじゃないか……」
フィアも心もち、話す口が重くなったような気がしたが、あえて無視して言葉を加えた。
フィア「こういうときこそ、王女としての器量が試されるというもの。仲間を信用できなくてどうする」
キールはにやけながら、答えた。
キール「このパーティの仲間に信用できる人間なんていただろうかな」
フィアも笑って答えた。
フィア「そういわれれば全くだな。まあ、しかし、無慈悲にもできまい」
キール「……お嬢、慈悲の心を持ち出したら、既に信用とは別次元のはなしですぞ」
それから、フィアたちは風化した街のあと地へと赴いた。エリグヒドと呼ばれるそこは捨てられた街であるだけあって、怖いような静寂が包んでいた。しかし、その静けさを容易に破壊する男がそこに立っていた。
グッドマン 「おう! 久しぶりだな!島に来たばっかの時に会ったろう?よしゃ、ここァオレが案内してやろうじゃねェか。出迎えにアイサツかましてからなァ!」
彼がそういうかいわないかのうちにフィアたちに戦慄が走った。気づけばこの街に残ったかつての住人たちが彼らを歓迎するようにとり囲んでいたのであった。
アルス「……ゴーストか。あまり戦いたくない相手ですね」
その言葉に応じて、セリスが足下でささやてきた。
セリス「またまた、舌なめずりしちゃ、ダメ。これだからネクロフィリアは……」
アルスはゴーストの気配以上に戦慄すべき相手がすぐ側にいるという確信を今まで以上に強めることとなったのはいうまでもない。
セリス「ほらほら、今は戦いに集中しなきゃ」
そうした感情とはよそに、セリスは戦陣を切って、ゴーストへと拳撃を加え
、戦いに集中を始めた。その徹底した反論回避はもはや、彼女の戦闘技術以上に高く評価すべきものであった
フィア「今日はどうやら、セリスの日らしいな。後方で、遊んでいるだけのセリスが最前線で戦っている……。何より、街でも活躍したようであるからな」
戦いは一方的な展開であった。リギノの神殿で新たな力を手に入れたフィアたちはこの程度の敵に手こずることはなかった。
セリス「冥土のみやげに教えてやろう!キサマの生命保険受取人はワタシだっ」
何よりもセリスが活躍し、敵を屈服させるたびに、楽しいことをいっていた。あのような形で、戦いを楽しんでいるセリスというのも珍しい。しかし、霊体であるゴーストやスペクターが保険に入れるのかどうかは怪しいものである。仮に入ったとしても、その保険の支払いは既に行われてしまったのではないだろうか。
それは置いておいて、今日も無事、戦いを終えることができた彼らは次なる選択を迫られていた。グッドマンがいうには、この先を進むには道がふたつあって、ひとつは険しい道だというのである。自分のちからがどこまでのものなのか、試されているようであった。
フィア「次はどちらの道に進もう。……こういう決断はリーダーたる私がしなくてはならないからな……」
岐路に立って、考えていた私に後ろから、キールが何かいってきた。
キール「お嬢。お嬢はもうひとつ考えることがあるのではなですか。……アルスどのを見習って」
キールは向こうでアルスと話をしていたグッドマンをさしていった。
フィア「残念がるがよい。そんな楽しげなことにはならないからな。私の理想は高いのだ」
キール「そうはいうがな、お嬢。この世界で出会った男とラブな関係になれるのはお嬢だけなんだぞ。女は……お嬢ひとりだけ」
フィア「人形だって、女であるぞ。それに私は寛容だ。私に迷惑のかからない範囲ならば、そなたも存分に男とロマンスを楽しんでよいのだぞ」
いつからロマンスを求めて旅をするようになってしまったのだろうか。その会話を盗み聞きしていたアルスは深い落胆に沈んでいくのを自覚していた。自覚しながら、この路線から早く脱却しなくてはと願うのであった。
パーティの風紀を徹底して維持しなくてはと心に誓うのである。
さて、その頃、エレナの研究所に赴いたシアスは昼下がりのティータイムをふたりで楽しんでいた。過去の関係にまた戻ることはないと理解しながらも、ただこうしているだけでも、幸せなのではないかと思うシアスであった。
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道は二手に分かれていた。長年、見捨てられたままであった街は風化していて、もはや、はっきりとは分からなかったが、市街地へと続く道と公園へと続く道とがあった。フィアは何となくこの時点で、妙な感じがしていてならなかった。
フィア 「次のエリアは嫌な予感がするな。みなのものここはひとつ退くことにするぞ」
フィアはその妙な気配が気になって、思わずパーティのメンバーにこう告げてしまった。しかし、キールたちはその言葉を怯えと受け取ったのか、聞き入れることはなかった。
キール「それは、ないですぜ、お嬢。ここまで来て、斬らずに帰るわけにもいくまい」
セリス「怖いのか……にゃっ」
フィアの発言は真っ向から否定されてしまった。彼女自身、その権威がパーティを動かしているといううぬぼれはなく、ただ機能としてフィアが司令塔的な役割を担っているに過ぎないことを充分に認識していた。また、当初、この先を進むことを推していたのはフィア自身であり、土壇場になって引き返そうというのは筋の通らないことだと彼女も分かっていた。しかし、彼女の直感がこの先の危険を告げていたのである。
フィア「いや、怖いわけではないが……、ただ、嫌な予感がするのだ」
実際、街で丹念な情報収集をしていたフィアにとっては、この先でフィアたちパーティが最悪の事態に遭遇することはないと知っていた。この先を進んだ冒険者たちの話をフィアは充分
に聞いていたからである。しかし、理論だけではどうにも解せない悪寒がさきほどから拭えないままでいた。
キール「そうか……寒いのか。ならこれを着るといいんじゃないですか。お嬢も手に入れただろ」
そういって、キールは先ほどの戦いで幽霊たちが所持していたと思われる死装束を手にとっていった。
フィア「な、な、な、そなたは何て格好をしておるのだ。何故、そんな縁起の悪いものを好きこのんで着られるのだ。それに、そんな服を着ていては動きづらいではないか、それなら、まだ普通の服を着ていた方がましであろうに……」
キール「いや、こっちの方が丈夫そうだし……。楽しいんじゃない。きてるあたりが……」
フィア「私は断固拒否するからな。そんな服……」
アルス「うん、服選びにもセンスや個性が大切だしね。でも、フィア、この先、進むのに何も不安要素はないはずなのに、どうして行かないの?本当に怖じ気づいた?」
アルスの顔は一見、心配をしているようにみえたが、どういうわけかにやけているようにみえたのはフィアだけであったのであろうか。
フィア「いや、そういうわけでは……」
フィアは何となく足取りも重く、俯いたままであった。そこにセリスが歩み寄り、足下でささやいた。
セリス「もともと、おまえは暴走突貫王女なのだから、そんなナイーブなところをみせて努力するだけ無駄ってもんだよ。アルスに遅れをくられて悔しいのは分かるが……」
その心底、憐れんだような顔つきはフィアの癪に障った。何よりも、彼女にとってアイデンティティを否定されたような言動は耐え難い。
フィア「私が、いつナイーブなことをいって、男を誘うようなことをした。何故、私がそんな真似しなくてはいけないのだ。私はそんな弱い女ではないのだぞ。みなのもの、さっさと先に進むがよいぞ」
フィア自身どうして、セリスの単純な仕掛けに乗ってしまったのか、後で考えてみれば理解できなかった。セリスの言動なのであるから、その多くが罠であり、いちいち正直に反応していてはセリスを喜ばせるだけと知っていたはずであったが、やはりこのとき、フィアの精神状態は平静とは異なったものであったのかもしれない。
アルス「さて、話もまとまったようだし、じゃあ、ボチボチついて行こう」
こうして、何事もなかったかのように、街の中心地へ進んでいった。おそらくこの街の住人はこのパーティほど騒がしく、安眠を妨げるものはいないと思ったに違いない。街の中からはその喧騒をやっかみた幽霊たちがまた現れて、彼らの行く手を阻んだのである。
セリス「せりすがあらわれた」
セリスは高らかに宣言した。人形はRPGの悪役、街の平安を乱す憎きモンスターといわんばかりであった。
キール「今週のうっきりどっきりメカー!!」
やはり、キールも悪役を買って出たいらしかった。アルスは彼らをみるや、ふっとため息をついてつぶやいてしまった。
アルス「…バカばっか…」
しかし、そのいつもの陽気なパーティの中でフィアだけは幾分か深刻そうな顔をしていた。剣を握る手にはいつも以上に汗がにじんでいた。
戦いの中でもフィアの不安は見え隠れしていた。一見すると普段通りのようであったが、その動きには鮮鋭さを欠いていた。そのことに気づいたのか、あるいは偶然なのか分からないが、幽霊たちもフィアを中心に攻撃の手を緩めなかった。
今日の調子で、その集中攻撃をさばききれることはフィアにはできなかった。少しずつ、体力を消耗させられ、ついには、囲まれ餌食となってしまった。
フィア「私が……、負けたのか?」
フィアは集中的に攻撃を受け続け、最後にレイスの魔法に耐えかねて、その場に倒れこんでしまった。意識が遠のいていくのを感じたのであった。
フィアが次の瞬間に気づいたのは、街の宿屋のベッドの上であった。
フィア「私は……」
急に起きあがったフィアの全身に痛みが走った。
アルス「大丈夫でしたか。まあ、よくあることで。気にしないことです」
キール「お嬢、……お嬢の獲物は、俺がいただいちまったぜ。くふふぅ……」
思わず、フィアは目頭が熱くなるのを感じた。
セリス「作戦成功だな。フィア」
しかし、それと同時に何ともいえない屈辱感にとらわれたのはいうまでもない。
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ベッドから起きあがった彼女はまだ身体のあちこちで走る痛みに耐えながら、よろよろとしながら服を着替え、窓際の机に腰掛けて、ぼんやりと外を眺めていた。故国の空に負けないほどの青空と穏やかに鳴く鳥のさえずりが妙にフィアの心を和ませていた。
フィア「昨日はどんだ失態をしてしまったが、今日もそうなるとはかぎるまい。今日は今日の風が吹くに違いない、あまり気にすることもないであろうな」
彼女は窓枠にほおづえをついて、まどろんでいた。
フィアが気分良くなってきた頃、無遠慮に扉を叩く音と共に、パーティのお仲間が入ってきた。
アルス「具合はどうですか」
穏やかさが一瞬にして、賑やかな空気へと変化して、ちょっとフィアは憤慨したのだが、その中でも割と心地よい声をかけてくれたアルス坊には頬が緩んだ。
フィア「まあ、何とでもなるであろう。ところで、そなた、今日は、何をもっているのだ」
アルスは背中に妙な箱を背負っていた。
アルス「ああ、これですか。以前、リギナロを倒したときに略奪した宝箱ですよ。う〜ん…いいかげんコレ背負ってるのも飽きたし、開けてみるかな」
フィア「何か、そなたにばかりアイテムがいってはいないか。……理不尽な」
キール「しかし、宝箱ごと持って帰るところが豪快ですな。罠なんかあれば、愉快だろうに……くふふ」
アルス「罠がかかっているから、一応、これごと持ち帰ったのですよ。今解錠するところです。」
アルスはふと、足下の人形に目をやり、少しため息混じりで首を横に振った。
アルス(罠を架けたのって、きっとセリスなんだろうな……。何でこんな面倒なことをするのかな)
アルスの視線が不快に感じたセリスは含み笑いを浮かべながらこういった。
セリス「どうした。アル坊、何なら、おれが解いてやろうか」
アルスは丁重に遠慮して、作業に取りかかった。中からはお金やナイフ、防具が入っていた。罠は発動しなかったようだ。その結果が気にくわなかったのか、セリスは舌打ちをして、部屋を出て行ってしまった。
アルス「さて、やることもないし、近くでちょっと鍛錬でもしてきましょうか」
キール「そうですな。いい暇つぶしになるでしょう。お嬢も行きますか」
フィアは心なく返事した。フィアにとってあまり気の進まないのは確かであった。
霧の戦場、そこは既に何度か訪れた戦いの領域であった。フィアにとっては負傷した身体で連戦をするというのはやはり、何かと調子も整っていないもので、どことなく集中力が途切れがちになっていた。
今日の戦いも、その影響を大きく受けたものとなっていた。普段なら、手こずることもないであろう敵の攻撃をまともに受け、あまつさえ、体勢を崩されたところで、決定的な攻撃を受け、2度目の戦線離脱を体験してしまったのである。
戦闘かパーティの力で余裕の勝利を収め、フィアも気分だけはと自己主張をしてみたのだが、そこに的確なつっこみが入れられてしまった。
アルス「突っ伏している人間に「負けるわけなかろ」言われてもな…」
連続の戦線離脱はパーティのメンバーも冷ややかだった。
部屋に戻ったフィアはひとり、またぼんやりと空を眺めていた。朝の晴れやかな空とは違い、昼下がりには雲がさしかかり、夕方からひは一雨きそうな天気であった。彼女はため息混じりに、自問自答していた。
フィア(パーティの戦力として、私は体力面で劣っている。このまま前線で張っていても、力が出し切れないのではないであろうか。この世界に来て初めて手に入れた魔法の力、これをつかってみるのはどうであろうか)
魔法の力を本来持っていなかったフィアにとって、魔法使いはそれなりに魅力ある進路であった。もとの世界では魔力を身体からそんなに引き出せるわけではない身体のフィアには高出力の魔法を放出するのは悪いことではなかった。しかし、やはりどうしても前線から引き、後列でパーティの庇護を受けるというのは性に合わないのであった。
フィア(とはいえ、役立たずはご免であるからな)
フィアは遅い昼食のために階下の食堂へ降りた頃、窓の外ではぱらりと小粒の雨が降り始めていた。
その頃、エレナの指示で、薬草採りに出掛けたシアスは、血に飢えたダッシュと遭遇してしまい、剣尖を交えることになりそうになったが、どういうわけか、大鎌を取り出した彼は、自らを串刺しにして、その場に倒れて動かなくなってしまった。シアスはみなかったことにして、エレナの要望する草探しを再開することにした
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